コラム

リサーチという仕事──コミュニケーションこそがカギ

候補者リサーチの仕事には、明確な指標や定量的な成果が見えづらい一面があります。

それでも私たちは日々、仮説を立て、情報を拾い、候補者にたどり着くまでのプロセスを丁寧に積み重ねています。

エグゼクティブサーチにおけるリサーチとは、単に情報を「集める」仕事ではありません。集めた情報を「選ぶ」「繋げる」「捨てる」ことの連続です。
インターネット上の情報、論文、SNS、肩書きや経歴、あらゆるデータを横断しながら、漠然とした候補者の人物像を少しずつ形あるものにする。
そこには、分析力や観察力といったロジカルな力と想像力の両方が求められます。

たとえば、「現場の信頼を得ながら、着実に経営改革を推進できる人材」や、「既存の事業を活かしつつ、次の成長戦略を描ける経営人材」など、定量化しにくい要件に向き合うとき。
何を手がかりにし、どこに可能性を感じるのか。そこで必要になるのが、自分自身の感覚です。
そして実は、その感覚の多くは、コミュニケーションの中で育まれていくものだと感じています。

各コンサルタントとの打ち合わせで、「こういう感じの人だよね」「このニュアンス、なんとなく分かるよね」といった曖昧な会話を重ねる中で、要件定義していないことをクリアにできたり、候補者像の“解像度”が段々とクリアになっていくことがあります。

案件概要や要件定義表には表現しきれない微妙なニュアンスを、リアルな対話を通して捉えていく。
その積み重ねが、リサーチの精度を高めていくのだと思います。

今はリモートワークやオンラインでの情報共有が当たり前の時代です。
便利になった一方で、言葉にしきれない感覚や、ちょっとした違和感、候補者像の微妙なズレは、画面越しの情報だけでは拾いきれないことも多々あります。

だからこそ、リアルな「報・連・相」や感覚・価値観の共有こそが、候補者決定を導く鍵になっていると実感しています。

リサーチ業務は、すぐに答えが出る仕事ではありません。ですが、手間をかけ、対話を重ね、テクノロジーを駆使し、仮説を磨き続けた先に生まれる“この人かもしれない”という予感には、言葉にできない確かさが宿る気がしています。

単なるロジックだけではなく、曖昧さと向き合うこと。
感覚に頼りすぎず、しかし感覚を無視しないこと。

そして何より、コミュニケーションの中で、言葉にできない“確かさ”を醸成していくこと。
このバランスを大切にしながら、これからも、唯一無二となるリサーチノウハウを磨き続けていきたいと思っています。


エグゼクティブアシスタント
白水 美優