インフラ×空間ソリューション
製造業
CIO、CTO
売上1000億円B2B企業 CIO招聘プロジェクト
- 決定ポジション
- CIO
- 年収/年齢
- 年収1,500万円~2,000万円/50代
- 売上規模
- 1,000億円規模
- 経営ステージ
- 成熟期
- 企業区分
- 上場

■企業の課題・採用背景
売上1000億円を超えるあるB2Bサービス企業が、将来のCIO候補となるシステム部門長を外部から招聘するプロジェクト。同社の現CIOの右腕として、変革期にある事業をIT側面から支えるリーダーの獲得を目指した。
同社では、経営戦略と連動したIT戦略の推進が重要な経営課題となっていた。事業成長に貢献する「攻めのIT投資」(DX推進、新規サービス開発支援など)と、全社的なITガバナンスやセキュリティを担保する「守りのIT」の両立が、次期CIOには不可欠な要件とされた。
特に、多様化する顧客ニーズへの迅速な対応や、高度化するサイバーセキュリティリスクへの備えが急務であり、これらに対応するためには、以下の資質を持つ人材が求められた。
●ビジネス感覚: 事業部門の課題やニーズを的確に捉える能力。
●リーダーシップ: 経営層から現場までを巻き込み、変革を強力に推進する力。
●戦略的視点: 中長期的な視点に立った投資計画と、変化に俊敏に対応できるアジリティ。
■人材要件の設計とターゲティング
採用ターゲットとして、以下の4つの要件を満たす「事業共創型CIO候補」という具体的な人物像が設定された。
1.攻守両面のIT知見:
AI・データ活用やDX推進といった「攻めのIT」と、サイバーセキュリティやシステム安定稼働、IT統制といった「守りのIT」の両方に精通。
2.経営視点と技術理解:
最新技術を自社ビジネスの課題解決に結びつける構想力と、経営層と事業部門双方の言語で対話し、全社的な合意形成を主導できる能力。
3.現実的な変革推進力:
複雑な既存システム(レガシーシステム)と向き合い、ビジネスへの影響を最小化する移行計画を策定・実行できる。
4.豊富なIT投資経験:
企業の成長ステージ(急成長期、成熟期、グローバル展開期など)に合わせた多様なIT戦略の立案・実行経験を有する。
■採用プロセス
本採用プロジェクトを以下のように進めていった。
1.潜在候補者の探索
公開市場での獲得が難しい高度IT人材であるため、独自の非公開ネットワークや外部協力者との連携を通じて、潜在的な候補者を探索。これにより、複数のシステム部長クラスの候補者との接触した。
2.候補者との関係構築
その中の有力な候補者2名は、現職で高く評価されており、当初は転職への意欲が強い状態ではなかった。そのため、採用企業CIOとの最初の接点として、昼食会という非公式な対話の場を設けた。この場でCIOは、自社のビジョン、課題、そして候補者への期待を直接伝え、候補者の関心を引くことに注力した。
3.退職交渉における課題発生
プロセスを経て、候補者の1名が選考に進み、社長面接を経て内定を受諾した。しかし、その後、候補者の現職企業(上場企業)の社長から強い慰留や引き留め工作があり、退職交渉は著しく難航した。このプレッシャーにより、候補者は心身ともに疲弊し、一時は内定を辞退する意向を示した。
4.困難な状況への介入と支援
事態を受け、弊社と採用企業のCIOで連携し再度、食事の席を設けた。その場で採用企業CIO(50代後半)は自身の経験を交えながら語った。
「何をするかだけでなく、誰と働くかも大切ですよ」
この言葉が、精神的に追い詰められていた候補者に影響を与え、再度退職交渉に臨む決意を促した。その後も、現職社長との対話が困難な状況が続いたが、弊社コンサルタントは候補者に密着し、面談機会の創出や交渉の進め方について継続的な支援を行った。
■成果と今後への展望
数ヶ月にわたる困難なプロセスを経て、最終的に候補者の採用は成功裏に完了した。
入社から半年後、本人は「あの時、勇気を出して決断していなければどうなっていたか分からない」と、この転職が自身のキャリアにとって重要な転機であったと語っている。現在、採用された人物はCIOの右腕として情報システム部門を統括し、その能力を大いに発揮している。