事例

流通小売業

流通小売

CEO、COO

オーナー家以外からの初の社長招聘
──地域密着型小売企業の変革ストーリー

決定ポジション
代表取締役社長
年収
年収2,200万+@/50代
企業ステージ
創業期
企業課題
未上場

経営体制の転換を求めて

地方に根ざし、長年スーパーマーケット事業を展開してきた小売企業。地域経済における影響力も大きく、地場を代表する存在として発展を続けてきた。創業以来、経営の舵取りは一貫してオーナー家が担ってきたが、時代の変化とともに組織の硬直化や閉塞感が顕在化しつつあった。

現社長である創業家当主は、自身の年齢と将来を見据え、「次代を担う外部人材」を迎え入れることを決断。自らが築いた信頼と文化を守りながらも、新たな風を組織に吹き込むことを目的とした。このポジションは、グループ全体で1,000億円超の事業体を束ね、ホールディングス経営にも関与するという極めて高難度のミッションであった。

「センス」と「人間力」に焦点を当てたサーチ

クライアントから提示された要件は、小売業経験に限定せず、経営者としてのセンス(不確実な環境下でも最適な意思決定を行う直観力と決断力)を備え、価値観や人間性の面でも新たな企業文化を醸成できる人物。

アプローチ対象を業界・業種を越えて広げ、サービス・外食・流通など関連領域の経営層に接触。多数の候補者と対話を重ねる中で、経験・実績に加え、「社会への貢献」や「利他的な志向性」を併せ持つ人物は一人だけだった。

彼は現場業務に始まり、マーチャンダイジング、情報システム、新規事業など、小売業の中枢領域を一通り経験したオールラウンドプレーヤー。事業規模、店舗・従業員・顧客への深い理解、業績を支える商品開発や仕入れ、マーケティング、経営管理など、求められる要素をすべて満たしていた。加えて、従業員を巻き込む形で小さな挑戦を積み重ね、現場から組織を変革していく姿勢が高く評価された。

覚悟と共鳴──オファー承諾の瞬間

オーナーは当該候補者を高く評価し、「この人物以外は考えられない」と語った。何度も現場視察や会食を重ね、相互理解を深めていったが、候補者にとっては地方での生活環境や責任の重さ、現職との兼ね合いなど乗り越えるべき壁が多かった。

最終的な条件提示の場は、東京・某所の一室。候補者は辞退の意思を固めて臨んだが、オーナーの真摯な言葉に心を打たれ、その場で意思を翻し、オファーを受諾することを決断した。この場面は、プロジェクトに関わった誰にとっても忘れがたい瞬間であった。

着任後の変化と現在

入社後まもなく代表取締役社長に就任。現場を重視した経営を実行しながら、売上向上策や商品戦略、業務改善など多方面に改革を推進。従業員との対話を重ね、会社の空気そのものが変わっていった。

今では、オーナーの信頼獲得はもちろん、役員や従業員からの支持も厚く、「この人が来てから会社が動き出した」との声も少なくない。地域特有の慢性的課題や外部環境の変化に直面しつつも、着実に業績を伸ばしながら、前向きな経営を継続している。